山本弘 アイの物語 角川書店

昨日はちょいと、買い物をしてきたのですが、その中のひとつ*1


目黒から一番近くて、ゲームが買えて本も買える、と言ったら新宿しか思い出せなかったので、紀伊国屋にて購入。
最近、山本弘の本はハードカバーのものしか読んでいないのですが、文庫は食指がそそられないものばかりだしねえ…正直、文庫で出して欲しい、とは思うのですが次も書いて欲しいと思うと、ハードカバーでも仕方ないかとお布施感覚。


この本、著者の古今東西のショートを再構成したものなんですが…今までのオムニバスに比べると、かなり面白いです。
戦闘用マシン・アイ*2に囚われて、物語を聞かせられる主人公…設定を極論すると千夜一夜物語なんですよね。
無論、オムニバス形式なので、それぞれの物語は単独でも読める、って感じなのですが、アイと主人公の外側からの絡みというのが読んでいて楽しいですね。何も出来ない暴君と全てを持つ侍女…正に、アラビアンナイト


しかし、最近頓に思うのですが、山本弘はやっぱり、作品に恋愛とか愛憎、肉欲を取り入れてからずいぶん読みやすくなってきたと思います。
何ていうのかな、今までに比べると親近感が沸いて、それでいてしっかりSFしているのがいいですね。
このスタイルは「神は沈黙せず」で試みて「審判の日」で試行錯誤*3し、「まだ見ぬ冬の悲しみも」で確立出来たんじゃないかと思います。


実のところ、まだ半分も読んでいないのですが、それでもこれだけ書きたくなる作品なんですよね。


それから、この辺を見ておくと、もっと興味が沸くかもしれません。



このページの最後から一つ前の文節は、現在のリアルでも必要な事。

*1:他にはDEAD RIZINGとかライトノベルを数冊、スイーツ少々。DRはまた別の機会に。んでもこのゲーム、適度な難易度ヌルさに対して、作り込みが異常というのが素晴らしい。馬鹿神ゲーの認定がおりつつあります。龍が如くと同じ、地味なんだけれどやり始めると止まらないゲームですね。本当、カプコンは社風というか、ディレクターに向いている…いやいや、好きで作ったゲームに関しては素晴らしく面白い。如何にも納期とかマーケティングって事情があるな、というゲームは逆にとってもつまらないんだけれど…あああ、MVC2やりたぁい!

*2:正式名称は別にある

*3:個人的には審判の日はかなりの駄作だと思う。これもオムニバスなんだけれど、題材に無理があったり、どちらかというとソードワールドの方で書くべきネタではないのか? と、思う。しかし、山本弘の新しいスタイルへの挑戦という意味では、大いなる失敗として楽しめます