アニメ再評価 〜ガンダム00、RD潜脳調査室

最初と最後では意見が違うというのが、連作を見ている時には良くあります。今回はそんな話。


● ガンダム00
最初こそ腐女子向けと思ってみていたのですが、最後がきっちり落ちていたので、個人的には評価がぐんと上がった作品。トライアルシステムあたりは『あー無茶してんなぁ』程度だったのですが、トランザムに至ってはイムリミット付きパワーアップは漢の仕様と、結構熱くはまっていました。
そして、全員に死亡フラグが立っているのにもかかわらず、ロックオンの引っ張り方が良かったり…何より最強機体より数押しが強いという描写をきっちりしてくれたり、世界vsソレスタルビーイングという構図がきっちり描けていたり、ガンダムマイスターの行った行為の報いを死という形でつけた点は、個人的に評価しています。
但し、ルイスの負傷に関しては、本編*1と殆ど絡まない為、これが気になりましたが。
確かに、お涙頂戴の全滅オチというと、結末としては凡庸という向きもあるかと思いますが…これは、個人的な見解でありますが、あらゆる理由があったとしても、世界はテロリズムを肯定しない、という演出は個人的に好きになれた話です。


● RD潜脳調査室
攻殻の別バージョン的な見方をしては駄目、というのが理解できました。
設定にがっちり裏付けされたハードアクションを期待して見なければ、いや、ハルとミナモの新手のバディ物という見方をすると、とてもすんなりと見ることが出来ます。
この二週間の『ラブ・レター』『手と手を』のストーリーはとても秀逸であり、SFとしても十分考えさせられるものが残るという心地の良いものでした。
『ラブ・レター』の方はハルの過去に関わる話であり、また、時を越えた切ない恋慕をミナモが解き解すという演出が素晴らしい。ミナモの若さ・幼さがハルには痛切なものとなる…この回のラストはかなり気に入っています。
『手と手を』の方は、犬にすらマイクロマシンを解した意思疎通が出来る世界ならではのストーリーで、人間の想いというのは強すぎると自分自身をも苦しめ、しかもテクノロジーがそれを加速する可能性がある、という演出。
人がテクノロジーでいくら進化しようと、心までは進化しない、という展開はやはり、気に入っています。ミナモの暴れっぷりは少々目に余るものがありましたが。


さておき。


それでもやはり、RDで気に入らない点はあります。
ダイブシーンが情緒的過ぎて、逆に違和感があるんですよね。攻殻の様にはっきりとネットと解る描写とは違った形で表現したいというのは解るのですが、それは別段、五感を全て投入できるネットでなくて良く、寧ろ、メタルという世界観すら必要無いかと思います。義体化は有機素材を使用したものまで設定されているので、わざわざメタルという概念を持ち出さなくても十分表現できると思います。
逆にこれが、RDを解りづらくしている原因なんじゃないかとも思うのですが。
確かにハルの過去を描写するのに必要なものではあるかとは思いますが、その辺を潔く切り捨てて、ネットはあくまで捜査の手段として割り切ってしまった方が、バディ物としてのひねりを加えやすくなると思います。*2


ハルとミナモ、静と動の役割分担がしっかり出来ているからこそ、ハルがダイブすると違和感を覚えてしまうんですよね。寧ろ、そこは電脳の使いこなしでハルとしての動を出すとか…説得力を出してもらえると、もっと素直に見る事が出来るのかとも思えます。


最後に…わざわざ士郎正宗という名前を使用しなくてもいいかと。これだけ面白いのだから。


以上、アニメの再評価でした。しかし本当にRDは上り調子で目が離せなくなりました。

*1:前編としてのガンダム00には、この負傷は殆ど意味が無い様に思えます。そりゃ、一見、無関係な人間でも戦争には巻き込まれる可能性がある、という描写は欲しかったんでしょうが、そうすると、そのきっかけがネーナの気まぐれというのが動機付けとして弱く感じます

*2:この辺はアクションとしての派手な動き、描写を予算として計上していない/出来ない事による結果なのかもしれませんが。だとしたならば、逆に割り切ってストーリーに注力した方が良いものが出来るのでは、と思わせるのがこの二週間のストーリーです。それほど、ストーリの出来が良い