図書館戦争

この春のダークホース…というより、個人的には大穴の図書館戦争について。


この時期*1図書館戦争を映像化するとは、流石にフジテレビ…アレ*2だよなぁと思いました…がっ!


■ 実は奥が深い図書館戦争
図書館戦争は、メディア規正法による検閲に対抗するために組織された、図書を保護する目的で創設された図書館の武装組織の物語です。
…と、書くとトンデモ風な物語に聞こえますが、その規制の成り立ちこそアッサリですが、図書隊*3創設までの経緯は実に良く練りこまれています。アニメではばっさり切られていますが、小説の方ではこのあたりが実に丁寧に書かれています。
図書隊創設の経緯からその兵装、組織の構成、主たる任務、訓練方法…この辺の濃密さ加減は小説の方が面白いかと思います。*4
アニメは逆に、恋愛模様に趣をおきながらも、図書館戦争ならではの、図書の武装防衛という観点を上手く表現できていると思います。情報量が不足している、というのではなく、冗長になる部分や難解になる部分を上手くスポイルしている、という訳です。
どちらから先に攻略してもいいと思いますが、アニメで興味を持ったならば小説に移行する、というのがお勧めです。
その方がアニメも楽しめるし、小説の方はハードカバーなので、かなりお高く*5なっております。


■ 物語の中心は軍隊内での恋愛…?
タイトルこそ『戦争』とありますが、あくまで武装組織のお話であり、また、ハードタッチなアクション一辺倒という訳ではなく、むしろ、話の中心としては、特にアニメの今後は恋愛模様になるんじゃないかと思います。
元々、フジテレビの深夜アニメ枠はかなり優秀な作品*6が多く図書館戦争も当たりの部類です。
ノミタイナ枠は比較的、恋愛要素の高い作品が多いのですが、今回の図書館戦争も『軍隊描写が実にしっかりしているものの、本質的には恋愛』なんですよね。
しかも、とかく格差を取り沙汰される昨今において、正に図書館戦争は『格差恋愛』が本当のテーマなんじゃないでしょうか。


■ 主婦は侮れない
そして、よしつねが最も興味を引いたのが、図書館戦争の著者が女性であり主婦であり、よしつねと同い年である、という点です。
これには正直、驚きました。本当に。
過去によしつねも女流作家による軍隊描写*7というものを読んだり見たりしましたが、どうも『軍隊に対する感情が優先されすぎて、ディティールがあまりにも不足している』というのが概ねの感想であり、女性に軍隊は書けないのでは?と思う節もありました。
しかし、図書館戦争武装組織の描写としては(押井守の小説を愛読しているような人間にとっては不足しているかもしれないが)とてもしっかりしており、よしつねの女流作家による軍隊描写のイメージを一新させてくれました。これだけでも僕としては納得できるのですが、ストーリーとしても十分面白いです。
特にお勧めできる点が『バランスの良さ』です。
軍隊描写一辺倒でもなく、恋愛オンリーの歯応え不足でもなく、アクションと日常、軍隊と恋愛の按配が実によく、大抵の人間は興味を持って読む、見る事が出来ると思います。
アニメ製作はプロダクションIG攻殻機動隊SAC等のハードタッチなアクション、というイメージがありますが、図書館戦争では日常の描写も上手に仕上げております。


もう既に話数は5話を放映しておりますが、今からでも十分に楽しめる作品です。是非見てみることをお勧めします。

*1:児童ポルノやネット、ゲームの表現規制などなど、今現在、表現の自由は様々な形で制限されようとしています

*2:アレ:産経新聞の社説を読むとよく解ると思うよ?

*3:図書館側の武装組織を作中ではこう呼んでいます

*4:特に兵装の描写が面白い。陸自の払い下げだけでなく、サブマシンガンを導入している点などは、

*5:1冊あたり1500円以上、しかもそれがシリーズで4冊も刊行されております。よしつねは金欠の時にこの本と出会い、仕方なしに図書館でこの本を読みました。ハードカバーのいいところは内容はジュブナイルでも比較的図書館に入りやすいという点です。という事で、図書館戦争は過去に一回読んでおり、現在まで放映されているアニメの内容は大まかわかってしまっており、少し寂しい思いをしています

*6:頭文字DDTエイトロン銀河鉄道物語ハチミツとクローバーのだめカンタービレもやしもんetcetc...こうして書いているだけで、幅広く、様々な層をターゲットとしている事が伺えます。穿った見方をすれば実験的要素が高いとも言えますがその実験は概ね成功していると思います

*7:最近では渡辺麻美によるFLAGのノベライズを読みましたが、前述の通りです