よしつね、試練の土曜日 〜最終兵器・その名は…！

災難というのは、いつでもどこでも起こりうる可能性がある、というお話。


スリーハンドレットの予約を入れて、んじゃトイレ掃除と風呂掃除とついでに入浴してくるわー、という事で一階に下りたよしつね。
時間の重複による無駄を避けるために、風呂掃除の後に風呂を沸かし、トイレ掃除の後に用を足すことにする。


世は全て事もなし。用を足すまでは全く以て順調だった。


そして、いい加減上位火山で獄燃石が出ないことにご立腹なよしつね、しかしながら、自分の身から出た物はそれはもう、たぁんまりと出たよしつね。
金策とばかりに軽く上位のドスファンゴとババコンガを片付けた後に、コックを捻るが…。


『ごぽっ、ごぼぼぼぷぷぅちゅるちゅるちゅる…』


おい大将、いつもの景気のいい奴はどうしたんだい？
トイレから出るときはいつも、どじゃーと盛大に行くじゃないか、なぁ？　アレが無いと、用を足した感じがしないんだよ。本当に。
…いや、解っているさ…。
本当は何があったかくらいは、ね。僕にだってそれくらいの知恵はある。
認めたくなかっただけなんだよ、その悲しすぎる事実を。そしてその後の悲劇を。絶対に。
だってそれは、本当に、本当に悲しい事なのだから。


『つ、詰ってやがる…！！』


にが虫をジューサーにダースで放り込んで龍角散とにがりで溶いた汁を一気飲み、そんな正に苦みばしった大人の三十路の表情しか浮かべる事が出来なかった。
寧ろ、本当に苦々しい。口の中に苦味が蘇るくらい。


…さて。
このまま放置と言う手もあるのだが、ことこの家の共用部分に置いて、僕はどちらかと言うとうるさい方であり、それを変に手を抜くのは嫌なので、原因云々を問うより、とりあえずリスクの解消、詰る所トイレ使用不能の刑と強烈な腐臭嗅ぎ倒しの計*1を回避するために、思案モードに入る。
お、詰っただけにつまるところってのがいいね。良くねーよ！全然！


とりあえず、針金ハンガーがあったので、バラしてＪの字にして、意を決して便器に突っ込んでみる。が、まるで手ごたえが無い。否、ありすぎるくらいの手ごたえ。
なにやら、自分の腹の中に詰っていた言語道断のものと水でばらされたトイレットペーパーと言う地獄絵図が目の前で展開されている。
15分ほど、針金をぐるぐるぐるぐるしていたのだが、本当に暑くなって、全裸で更に5分くらい、汗をぽたぽた流しながら、トイレでばらした元・ハンガーの針金をごりごりと便器に押し付ける三十路。


いい加減、何かが悟れそうになったり、某殺し屋の様につつーと涙が出そうになって、一時中断。
再度、思考モードに入る。


家にある溶剤をかき集めて、ヤバ目の発砲溶剤を調合してみる事にしたが、その手間があるならば、市販品を買う方が安くて早くて賢いと気付く。
とりあえず、家の裏のスーパーに行ってみる。
が、ここは食品売り中心で当然、パイプ詰り解消の発砲溶剤なぞある訳が無い。腹は減っているが、あの地獄絵図の直後だったので、とても食欲が湧かない。


仕方無しに、一度帰って風呂に入って出直そうか…そう思った瞬間！

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│　 　＿　（ｍ）　＿ﾋﾟｺｰﾝ
│　 　　　　|ミ|
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│　　　　　('A`)　　　　奥義：ラバーカップ！
│　　　　　ノヽノヽ
│　　　　　　　くく

おもむろに隣の100円ショップに行き、いまいち売る気の無いおねーちゃんに105円をさっさと渡して、大股で早歩きで家に帰る。


玄関からサンダルを脱ぐや、僕の新兵装、否、決して使うことが無いと思われていた究極にして、最強且つ最凶、その名はラバーカップ！いわゆる便所スッポン！を包装から取り出し、すばやくカップを絵にねじ込み装着。
自ら生み出したとは言え、あまりに凶悪な、奴を闇に葬り去るため、意を決して、しかし深く静かに潜行させる。


ゆっくり沈め、そして引き抜く。ゆっくり沈め、そして引き抜く…。
目の前に展開される惨劇。しかし、ダースベイダーよろしくすぱーこー・すぱーこー・すぱーこー・すぱーこー…としか言わない。
ぷち。
『ここはスパルタだぁぁぁ！』
スパルタ王よろしく蹴りを入れる代わりに、全力でラバーカップをねじ込み、そして引き抜く！
ぐぽ…ずぼばぁぁぁぁあ…
我、勝てり。


惨劇の跡と究極兵器を便器の水で洗い流し、ほっと安堵のよしつね。
バラしたハンガー針金を更にプライヤーで折り曲げバラして、究極兵器ラバーカップを買った袋に収める。
…終った。惨劇が。そして全てが。


Ｔシャツとトランクスを身に着けると、究極兵器を封印し、僕は何事も無かった様に映画に行く支度を始めました。


さて。ここで皆さんにお知らせ。
よしつねはこの究極兵器をどこに封印したでしょうか？
明日の日曜日、これを本格的に我が家の敷地内に封印いたします。そして、その封印を解いた者には、よしつねが傅くと共に、何かいいことをしてあげましょう。
もし、我が家に遊びに来る事があれば、思い出してみてください。

*1:追記；　誤植なんだが、意味的に合っている気もしないでもない。なんとなく