解る人は解っている、僕は肯定する

P-MODEL平沢進*1が非常に興味深いコメントを出している。



調べもしないし、知りもしなかったとはいえ、本当にひどい構造だよなぁ。例えばこれ。

平沢氏: 例えばメジャーなレコード会社で活動してたとしますよね。レコーディングが終わるとある日突然、出版会社から契約書が届くんですよ。で、契約してくれと。契約条項にいろいろ書いてあるんですけど、契約書が送られて来た時点で、JASRACにもう勝手に登録されているんです。残念ながらアーティストは、著作権に関してまったく疎い。同時に私自身も疎かったがために、そういうものだと思いこんでいたわけですね。それによって、出版会社に権利が永久譲渡されている曲というのがあったりするんですよ。で、JASRACで集金されたお金は、この出版会社を通るだけで50%引かれて、アーティストへ戻るという構造があるんですね。出版会社は“プロモーションに努める”と言いますが、成果は保障せず、どんなプロモーションをするのか何度説明を求めても、回答しないことがほとんどです。大きなセールスが期待できるアーティストについては積極的に動きますが。

権利の永久譲渡に加えて、無条件で50%抜きって、経済ヤクザですか?
こんなんだから、メジャーのCDを買うのが馬鹿らしくなる*2んですよね。


更に興味深いのがこれ。

平沢氏: メジャーレーベルを辞めて自分で配信するようになってからは、作品の売れ行きは伸びて、マーケットも広がってます。無料のMP3配信を監視していると、ダウンロードが24時間止まらないんです。そうしているうちに、次は世界中からCDの注文が入ってくる。そう考えると、無料で音楽を配信すること、コピープロテクトをかけないことは、プロモーションにつながるんです。これはものすごい威力ですよ。お金を払ってまで欲しいと思ってくれなければ、やってる意味がない。違法コピーしてそれで満足してしまうようなものであれば、それは自分のせいだと。作品がその程度のものでしかないと判断する姿勢を、今のところ持っています。



以下はあくまで消費者としての僕の意見ですが、クリエイターとして、アーティストとして規範となるべき、また、あるべき姿だと思う。
そも、見せも聞かせもせずに買ってくれ、という商売が出来ていたのは音楽とゲームとエロ本ぐらいなものだろ?それだって、ゲームは体験版を配布、エロ本はネットのエロサイトに置き換わり意味消失しかけている。音楽も昔はエアチェック*3なんていう言葉があったが、今の時代にそれは難しい。


そもそも…レンタルCDというものが容認されているのにも関わらず、更には『これいいっしょ?』とカジュアルコピーが黙認されている/システムとして可能であるにも関わらず、ネットの違法コピーだけ目の敵にするのはおかしな話である。
まぁ、論点がちょっとズレてはいるけれど。


いずれにしても。
僕の様にマイナー大好き、インディーズ好き、洋楽は輸入版を買うしかねぇ、って人間にとっては、歓迎すべき行動、それが今の平沢進です。

*1:僕もそうなんだけれど、有名なのはアニメ剣風伝奇ベルセルクの音楽担当じゃないかな。次回予告や劇中のBGであるForcesは、彼自身が歌っている。タイトル通り透き通った力強いヴォーカルが魅力。ちなみによしつね、このアニメのOPであるTELL ME WHYはカラオケのオハコである

*2:当然ながら、最近は殆どCDなぞ買っていません。例えば、大好きな声優さんのCDを買っても、彼女らへ全然還元されない…多少なりとも還元される、のではなく、本当に、全く還元なし…んですよ。現在の構造上では。しかも彼女らはプロダクション会社のお陰で…

*3:FMラジオで流される音楽をカセットテープなどのメディアで録音する行為。昔はその番組表を雑誌としてリリースされていた。今となっては古き良き行為。iPod Shuffleのコンセプトとしては、この、FMラジオの置き換えらしい。つまりは、ラジオを聴くように、意図しない曲をシャッフルして流す、というコンセプトである