ターミネーター2 完全版

当時の最先端CG技術をふんだんに盛り込んだアクション映画、言わずともがななんですが、今回は折角、完全版を見たのでいくつか。
ジェームス・キャメロンの作品は好きなだけに愛を込めて叩くのですが、今回は知っているとよりターミネーターが好きになる点を挙げてみます。


完全版では、公開時にカットされていた、ストーリーの根幹に関わる部分が含まれています。ここをちょこっと。


もう知っている方もおられるかと思いますが、最大の点は、ターミネーターの学習機能をリプログラムし復活させるところ。
サラ・コナーの治療とT-800の体内から弾丸を抜くシーンで、T-800自身が、学習機能が限定されているとコナー親子に伝え、それを復活させてはどうかとジョン・コナーが提案します。
多分、頭皮を剥ぐシーンがアレだったり、ストーリーのスピード感が失われると判断されてカットされたのでしょうが、実はこれ、エンディングまで関わる大事な伏線だったりします。


このシーン自体、ジョンがレジスタンスの指導者としての片鱗を見せたり、それでも母親の愛情が恋しかったり、とか、サラのターミネーターへの恐怖がどれほど根深いものかというのが解るとても良いシーンでもあります。


ここで、学習機能を復活させたT-800は、ジョンの言葉をどんどん学習し罵詈雑言を使いこなし、ジョンから教わった車のキーの隠し場所を覚えていたりと、その成長振りを見せています。


しかし、最大の学習の結果は、ラストシーンでT-800が自らを溶鉱炉で溶かしてくれと、サラ親子に提案するところ。
劇中の序盤でT-800はジョンの命令に絶対であったけれど、学習の結果、ジョンの命令…「溶鉱炉で自らを溶かすのを止めろ」という命令に逆らい、チェーンフックに掴まります。
この、T-800の選択と命令への反旗が、学習機能を無制限に設定されたT-800の学習機能の最大の結果であり、また、生命を尊重する概念を学習した結果であります。
ラストのサムアップもそう、というのは都合が良すぎかな?


次に、劇中最大の見せ場である溶鉱炉のシーン。
劇場公開時では、ラストバトルのシーンでT-1000にT-800が鉄パイプを叩き付けるシーンで、いきなりT-1000が裂けてしまったり、ジョンが偽サラを見破るシーンで足がスキッドガード付き鉄板のパターンになっていたりするシーンは、唐突過ぎていないかと思います。


完全版では液体窒素によって凍結破壊されたT-1000の機能異常を表現するシーンが復活しています。
例えば、T-1000が思わず触れたガードレールと同じパターンのタイガーストライプが手から腕にコピーされてしまったり、同じくスキッドガード付き鉄板のパターンを足にコピーしてしまうシーンが溶鉱炉を移動する最中、インサートされています。


どうしても派手なアクション…例えば、サイバーダインの研究所爆破シーンやら、溶鉱炉でのバトルシーン、特にオーラスのサラのショットガンのワンハンドリロードはカッコ良過ぎですが、実はこうした伏線とその巧みな処理が完全版には含まれております。


ターミネーター3が前作のオマージュと、耳目を引くだけのバトルシーンに終始し、最後の最後まで何のテーマ性も見出せなかった今*1ターミネーター2の完全版を見てみるのも一興かと思います。


ま、難しいことは抜きにしても、鉄パイプ串刺しから復活するT-800やサラのワンハンドリロード、猫顔俳優ロバート・パトリックのちっちっち、そしてラストのサムアップは今でも熱い映画だと思います。
時間に余裕がない方こそ、どうぞ。

*1:とは言うものの、前世紀と異なり、国家間大規模戦争の危機から民族主義の台頭による変化や、未来への希望が見出せない世相、というのを考えると、それなりにマッチしているのかもしれない、とも思えます。程度レベルですが。何ていうのかな、個人的に、実はエヴァンゲリオンの始めの方を思い出しました。あとね、T-Xのおねーちゃんはキュートだと思いますよ、うん