ウォンテッド 〜主役は誰だっ?

先週末、先行上映を観てきました。正式公開は今週末から。


はいだらーっ!*1
と言う訳で、ネタバレがチョコチョコとある程度で感想をば。


● 端的に言うと、SF要素を限りなく廃したマトリックス
主人公はさえないカスタマーサポート、まぁありがちに日常に退屈していて、彼女は同僚に寝取られていて、上司にはいびられていて、パニック障害持ち*2
今日も今日とて、同僚にコンビニの勘定を払わされて彼女には嫌味を言われてもううんざり、という時にエキゾチックな美女から自分の父親の死と出生を知らされる…という、ありがちなストーリー、でした。
これはこれで、使い古された手だけあって、安心感があると言えばあるが、ちょっと陳腐かもしれません。
しかし、この映画はストーリーなんてあっても無くてもいいんですよ。アンジーさえ観られればアクション映画なのですから。
序盤からもう、怪しいグリップにハンドガンを差し込むと、デジカムよろしくビハインドポジションからハンドガン乱射っすよ! これよこれ! アクション映画の王道!


● プロセスは合っている
無論、そんな無茶苦茶な展開についていけない主人公、1000年続く暗殺組織のエースである父親が、組織の裏切り者に殺され云々言われても、そりゃ無理ってものですが…アンジーのお誘いがあれば遂に怠惰な日常にキレて暗殺組織へ身を投じるのですが…最初から殴られるは切られるわハンドガンの弾道を曲げろなどと言う、何かの呪いなんじゃないか? という羽目に遇います。
しかし…これって、洗脳の常套手段なんですよね。
何を言っても殴られる、意味も無く戦わされコテンパンにされる、しかし、治療だけはしっかりしてもらいまた繰り返し…と。
それにしても、あの抜き撃ちはカッコいいと言えば、カッコいい、かも、知れない…。*3


● 主役?は?誰ですか?
ここまで書いてお分かりの方もおられるでしょうが、宣伝やら告知ポスターではいかにも、トゥームレイダー*4よろしく、アンジェリーナ・ジョリー大暴れの巻ではありません。主人公は特徴の無いのが特徴、といった青年ですから。
でもですね、絶世の美女に暗殺組織に入ってみない?と言われりゃ、そりゃ入るってもんですよええもう!
またね、このアンジー扮するフォックスが良い女*5なんだわ。彼女の昔話も、ちょっと切なくて良いしね。


● クライマックスは撃ちっぱなし、でもラストは人それぞれ
この手の映画でのお約束ですが、とにかくクライマックスは撃ちまくります。
しかも、列車内の撃ち合いは、実はかなり熱いつくりになっています。宿敵であるクロスとのガンファイトはねーよもう!こんなの、こんなの、銃の神さまを馬鹿にしているだろう!でも、でもっ…感じちゃう!びくっびくぅ…!!っと。とにかくね、映像の見栄えと切れの良さが引き立てます。
そしてオーラス直前のカチ込みはもう、今までの全てをぶっ飛ばす勢いがあります。ダブルハンドショットありナイフ*6あり、殴り合いに一気呵成です。
そしてオーラス…主人公達はある選択を迫られます。僕は、アンジーの選択は正しいと思っていますが、貴方なら…どうします?


しかし、ここまで書いていながら、オーラスは実はちょっと、腑に落ちない人もいるかもしれません。しかし、僕は本当に最後の最後の、主人公の一言で全てを納得することが出来ました。*7


● お勧めとしてはレイトショーで、ソロで見るのがいいかも?
しっかし、ここまで撃ちっぱなしの映画、基本的にデートムービーなどとは到底呼べず、かといって、じゃあ野郎同士で見に行っても不毛だし、そも、1800円分の価値があるかどうかは、本当に人それぞれです。僕はタダ券で連れて行ってもらいましたが。
もし観るのであれば、ソロでレイトショーがお勧めかと思います。
解りやすいストーリーに悪役*8、撃ちっぱなしのガンアクションに美女、難解な映画を見た後に、力を抜いてみるのが上等、と言うものです。


万人にお勧めできる映画、ではありませんが、美女とガンファイトを思いきり堪能できますよ!

*1:ANUBIS〜Zone of the Enderのケンの不思議な不思議な掛け声。しかし、本当に不思議な事だが気合が入るなぞの呪文

*2:極度の緊張により、動機、息切れ、めまい、酷いと昏倒に陥るという。しかし、本編の主人公は、本当はそうではない

*3:無論、あんな銃の撃ち方は横撃ちよりも当たる筈が無く、寧ろ、暴発の危険を考えると絶対にしちゃいけない、IPDAあたりだと失格どころか二度とくんな!クラスまであるうち方、だと思う

*4:しかし、彼女を有名にした筈のこの映画、海外では無茶苦茶叩かれており、加えて、アンジェリーナ・ジョリーは様々な不名誉な賞のノミネートさえされています。んまぁ、この頃はトゥームレイダーシリーズ自体が物凄く低迷しており、一時はシリーズおとりつぶし、とまで言われたくらいですからねぇ…アンジー自体も、ララ・クロフトを演じる事に拒絶反応があったとか。しかし、マイティハートとグッドシェパードは観ておいて損は無い。寧ろ、観た方が良い

*5:向こうのヲタ…所謂nard連中にとってもモテモテな感じの仕上がり。凛としていても、必ず自分の事を見てくれるという感じ?

*6:当初、主人公の暗殺シーンに一切出てこなかったナイフの訓練の成果が、やっとここで観ることが出来ます。それまで、全く描写が無かったので、かなり不思議に思っていたんですよね

*7:個人的には、マトリックスのラスト、ネオが空を飛ぶシーンより余程納得行きますよ。まぁ、僕はマトリックスウォシャウスキーニューロマンサーとして観ているから、かもしれませんが

*8:モーガン・フリーマンの演技が素晴らしい。そう考えると、今回の映画はのっけのガンアクション以外は、アンジーの活躍が…おっと、これ以上は。しかし、のっけのバイパーを派手に乗り回しつつ打ちまくるシーンは、つかみ、どころかフルネルソンスープレックスの破壊力です