ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE

噂のリメイク版エヴァンゲリオン、見てきました。正直、素直にいい感じでしたよ。


基本的に原画以外は全て新しいし、音も劇場版ということで、強力になっている。また、新作カットもかなりの分量で、単なるリメイクとは言えない感じに仕上がっている。
事実、ストーリーに関しては、僕が今まで見たエヴァンゲリオンとは解釈が異なっており、この点だけでも見る勝ちはあるんじゃないか、そう思わせる仕上がりでした。


当然、ストーリー部分に触れるのはあまりにあんまりなので、ネタバレしない程度に、よしつねなりの見所を書いて見ようと思います。


● 濃密な情報量
前作も心理学、宗教学、生物学、果ては航空宇宙まで意匠として取り込んでいたのですが、とにかく、説明不足という感が否めなかったのですが、近作の『序』では、スクリーンに可能な限りの情報量を詰め込んで、しかも解釈しやすいようにする、という努力が見られました。
これから見る人に、是非チェックしてもらいたいと思う箇所は、次の通り。


エヴァンゲリオンコクピット内の表示
ネルフ作戦本部の情報スクリーン
ヤシマ作戦での電力供給の進捗情報


また、今回は視聴者の年齢層が上がっていることを意識して、所謂『適切なビジネス用語』等も用いられていて、その辺も「おっ!」と思わせるものがあります。


リメイクという性質上、前作を見ていないとジェットコースターな印象があるかもしれませんが、いい機会なので前作と見比べてみるのも楽しいかもしれません。
しかし、そうすると余計に劇場版の情報量の多さ、転じて解りやすさが際立つと思いますよ。


● 安定した作画
TVシリーズでは仕方の無い事ではありますが、劇場版ですら気になった作画の不安定さが殆ど気にならないレベルにまで向上しています。これぞ劇場版!というクオリティです。
また、CGを多用しているのは、気にはなるものの、使われ方が上手であるためしっくりしている感じを受けました。
この辺の見所としては、こんな感じ。


第三新東京市の展開、収納プロセス、国連軍の兵装
ネルフ作戦本部の情報スクリーン
ヤシマ作戦の電力供給システム


それから、個人的な感想として、碇シンジ葛城ミサト綾波レイの三人に関して、表情が柔らかくなったような印象を受けました。これは後述の解釈の変化のせいかもしれません。逆に赤城リツコはきつい表情が多くなったと思う。
ヤシマ作戦が二回も出ているのは、映画を見れば解ると思います。これ以上は内緒。
あとね、あのシーンのシンジは、ちょっとカッコ良すぎると思う。


● 演出の違い
これはストーリーとリンクする部分が多くなるので、出来るだけ避けたいネタではあるのですが…やっぱり、どうしても書きたかったので、ちょこっとだけ。
前述した通り、TV版や前劇場版は『そもそも、客の事を考えて無い、むしろ解る訳無いだろ?』という、挑戦的・挑発的な感じを受けたのだけれど、今回は『絵を見ることで解りやすく、キャラクターの思いはなるべく口にしている』という印象を強く受けました。
今までのエヴァンゲリオンを見ている人にとっては、逆にちょっと気持ち悪いくらいに解りやすい、というのが本音。
この点の見所はこんな感じ。


使徒殲滅後
碇シンジの扱われ方と葛藤
ヤシマ作戦全般


もうここまで読んでしまった人には言ってしまおう。
今作の見所はヤシマ作戦に尽きます。無論、TVシリーズでも見所の一つであったんだけれども、ここの演出は大きく異なっています。


これ以上書くと、本当にネタバレになってしまう。ですので、以降は読まない方がいいかもしれません。念の為に改行。










ヤシマ作戦の密度・情報量が向上しており、またラミエル襲来の【未見の人の為に削除】が大きく異なっており、また、【同じく削除】が【同じく削除】したり、初号機の【同じく削除】が現代の【同じく削除】に準拠しており、この辺が軍事マニアの心をくすぐられた。そしてクライマックスで【同じく削除】が【同じく削除】したシーンは、正直胸が熱くなったし、そのお陰でオーラスの【同じく削除】シーンにとても説得力が出て、情けない事によしつね、涙を流しそうになりました。


この手のリメイクで、手放しで褒めるという行為は決していいものではないのですが、よしつねとしては十分に元が取れたと思える作品でした。


特に、今までのエヴァンゲリオンを見た事のある人に、お勧めします。