時をかける少女

仕事の間隙を縫って、やっとこさ時をかける少女を見ることが出来ました。


ええ、一発で気に入りました。とても素晴らしいです。掛け値無しで。


ストーリーに関しては、あんまり書かない方がいいかな、と思うので、簡単に。
ま、タイムリープって時間と空間を超越する能力を身に付けた女子高生の物語。これ以上は省略。*1


最初こそ、声優さんの演技…が気になるものの、後半ではずいぶんとしっくり来ている感じです。逆にこの作品に関して言えば、プロフェッショナルを敢えて使わない事でいい方向に機能しています。


作画レベル…特に人物に関しては、貞本氏がデザインしているものの、他の作品とは一線を画している、という印象があります。例えばエヴァンゲリオンとか,hackに比べると、貞本色は薄いと思います。
何というか、エヴァとか,hackと違い、表情の変化に趣が置かれているから? と僕は思っています。


んで…。
とにかく、抜群に良かったのが登場人物の心理描写、特にヒロインの真琴ちゃんの心理描写がとても良く出来ている。この一点に尽きます。


この映画の根幹を支えているのは、多分、ヒロイン真琴の前向きな性格なんだと思います。また、それ故に泣いたり笑ったりという表情がとにかく素晴らしいです。
何ていうのかなぁ、一見、大雑把に見えるんですが…喜怒哀楽の表現がとにかく良いんですよねぇ。


この映画の見所を、ひとつだけ公開。
真琴ちゃんのタイムリープ能力の使用法。
とにっかく、俗っぽいんですよ。
よく、サイエンスフィクションというと、小道具とか能力を大仰な方に使ってしまいがちになり、それ故にサイエンスフィクションの面白さである『現実の延長線上にあるフィクション』というスタンスから、一気に『中二病全開の脳内ストーリー』になってしまう*2のですが、こうした身近な方法で、解り易く、しかもああ、私もこれするだろうなぁ、という事を、敢えて実践する事による嘘の刷り込みという手法は、実に的確だと思います。


キャラクターの話をすると、個人的に外せないのが、原作のヒロインである『芳山和子』の存在。
ヒロイン紺野真琴の叔母、という設定ですが…実はこの女性が一番、物語を引っ掻き回しているのではと思えるのですが…よしつね、実はこういう女性が最も好みであったりします。
原沙知絵の演技もいい。しっとりとした演技*3がとても素晴らしい。更に萌えます。


ストーリーに雑味が無く、変に説教臭くも無く、素直にヒロインを見つめて、そして楽しめるいい映画だと思います。本当に。


出来れば、原田知世主演の映画を見ている、おっちゃんたちに見てもらいたいかなぁ。
しかし、基本的に無条件でお勧めします。見た方がいい。

*1:原作と重複する部分が多い、とだけ言っておきます

*2:これを防いだ上で、能力や道具を上手く処理したいのであれば、徹底的に世界観を描いた後に物語を展開しなければならない、と僕は思います。最近、上遠野の小説がまた面白くなってきたなぁ、と思うのは、人類の宇宙進出と虚空牙との攻防を『ほぼ全ての作品に』オーバーラップさせているから、なんですよね

*3:正直、逮捕しちゃうぞの小早川美幸というキャスティングで、原沙知絵はあまり好きじゃなかったのですが…これはいい!ミステリアスな影を持つ女性、という役どころを余すところ無く表現していると思います