鍛え甲斐のあるパダワン

「よしつねはどんな人が好き?」
今更そんなことを聞くか。普通。
「・・・僕を全部好きになってくれる人。」
「何それ。」
「だから、腹黒いところとか、嫌らしい性格も含めて。」
「なるほどね。解った。」
「?」

さて。
結局、日曜の朝は家じゃないところでごろごろしていたよしつねです。駄目全開だよ・・・。
そんなどーでも良いような会話をした日曜ですが、車のクラッチの調子が悪いんで出ようとすると、一緒について来るという。何処も面白くないし、あんまり他に出かける気もしないけれどと散々念を押したのですが、ついてきてしまう。いいんだけれど。
で、環七沿いの棒マツダディーラーに行って、クラッチの調子の悪さを伝える。その場で見てくれると言うので、一緒にピットに行く。だから、ぞろぞろ付いてきたって・・・。
「症状はペダルが戻らない、ってところです。やっぱりマスターインナーですか?」
「念のためにレリーズシリンダーも交換した方がいいですよ。」
「解りました、とりあえずパーツを用意してもらいたいんですが。」
「明日発注で、火曜には届きます。ブレーキフルードはおつけしますよ。」
「わ、ありがとうございます。土曜にまた来ますんで、お願いします。」
見積もりを切ってもらう間「あたしがいたから?あたしのお陰でまけてもらった?」とげんなりするような台詞を繰り返すこの女性は僕の何処がいいんだか・・・と、小一時間くらい(以下略。
流石にこのまま帰宅はあんまりなんで、でも、どこかに行く余裕も気力もないので、秋葉でキーボードを調達しに行くことにする。TypeMatrixという、格子配列のキーボード。これは、家で使っていたKinesisを会社に持っていってしまったので、代わりに入れるように購入するためです。一人ならば路駐で速攻、なんですが、流石に格好悪すぎるので、いい加減空いてきたパーキングメーターに止めてしばらく歩く。
「CDとか掃除機買いに来たことあるよ。」と、どうでも良いことをぺらんこぺらんことよくもまぁ・・・。
「そいやさ、パソコン持ってないよね。」
「うん。メアドもあるけど。ケータイあるし。」
「なんじゃそりゃ。それはネットの凄さを知らないだけ。」
「えー、でもケータイのiモードでいいじゃん。ねぇ。くれるならもらうけど。」
「けっ、iモードだってよ、ださ。組んでやったら使う?」
「何?くれんの?欲しい!」
自分の乗せられ易さに辟易しつつ、今回の目的地、BLESSにてキーボードゲット。かたや「へー」「ほー」「これ何?」「プラモ?」「すご」「うーん」とひじょーに素人丸だしで恥ずかしい。
「とにかく、買うもの買ったから帰る。飯は奢るよ。」
「ありがと。いや、解ってたんだけれどね。」
微妙に屈辱感を味わうこの気分は何っ?
石丸からダイナミックオーディオの角を曲がり、ちょっと暗がりをしばらく歩いていくと、しきりに腕を引っ張る。
「ね、アレ・・・何?」
「はぁ?何か?」
「だから、アレだってば、あの人たち!」
「あー?あ、あれは多分、コスプレイベントがあるんじゃない?」
確かに凄い。向かってくるのはメイドさんにマルチにアルルにヒカル、しーぽん、キラ、アスラン、正太郎君・・・etcetc、結構新しめ?
一方、喜んでるのか驚いているのか、でもそれを悟られるのは感じ悪いと思っているのか小声で「わーっわあ〜っ!」と実にアメィジングな表情。
わー、なんかこの女性、凄く面白いぞ。耐性の無い人ってこんなんなるんだ・・・おもしれぇ!!よしつね、この日初めての、心からのナチュラルなアルカイックスマイル。*1
ひとしきりレイヤーさんたちが通り過ぎると・・・。
「・・・すっごい!秋葉原!こんなんあるんだ!」
「何を今更。」
「全然見たこと無かった!あんなの!」
「あんなのはやめよう。」
「あ、ごめ・・・でもすごい!かっこいい!」
「・・・もっと見たいとか?」
「うん!」
・・・妙に面白くなってきた。

その日の夕食は、ちょっと奮発して御徒町のマイネ・クライネで食べる・・・って、人が車だってのに、旨そうに黒ビールを飲み干す姿が実に腹立たしい。
そんな日曜日。

*1:文章上では余裕っぽく見せているよしつねですが、内心はちょっと驚いている。東堂塾出身のプロドライバーくらい