押井守 立喰師列伝 角川書店

まだほんのさわりしか読んでいませんが、とりあえず。
タイトルから想像するに、一昔前の押井氏の文章を彷彿させるものがあるんですが、とんでもない。その蘊蓄はAvalon〜灰色の貴婦人のそれ以上です。
室町・鎌倉から江戸と経て幕末、そして戦後と蕎麦の考証が行われるのですが、語りか本当か微妙に解らないです。いや、ちょっとネットを漁れば調べはつくのでしょうが、そんな事はどうでもよろしい。
最初に読んで面白いなと思った点は、その隙の無い時代考証を背景に、その時代なりの立喰師なる人物のゴト、いわゆる騙しのテクニックが妙にマッチしているところ。
今は第二章の「ケツネコロッケのお銀」を読み進めているところですが、この辺は押井氏の最も得意とする時代描写の入り口なので、相当に期待しています。いや、既にお銀のゴトをちょっとだけ読んでいるんですが・・・さもありなん、でも絶対いないよな、こんな女性はという、実に癖のあるチャーミングな立喰師が描かれています。
何故にこんなにイメージを膨らませているか、というと・・・各章の冒頭に立喰師の写真が載っているのですが、お銀のイメージは兵藤まこです。素敵な女性を想像するなって方が難しい。
・・・とまぁ、斯様に楽しませてくれる本であります。
立喰になにがしかの思い入れがある・・・特にうどんではなく、そば、もとい蕎麦好きに特にお勧めしたいです。
それから女性に。立ち食いに浪漫を感じて欲しいから。*1

*1:・・・それが、どれほど無理難題をたれているかは、よく解っているつもり、です