ZeroHour 1245

ローリングスタート*1直後は観客総立ち、爆音とFMと歓声がミキシングされた空間はただただ、圧倒される。
気合いの入ったカメラ持ちは、このスタートの瞬間から、最初のピットの間、それからピットワークを狙って撮る。
レース展開は至って静か、IRL*2のレース展開とは思えないほど、序盤はコーションも発生しなかったが、100ラップが見えてきそうな頃にイエローフラッグによるフルコースコーション発生。しかし、日本人最上位の5位に付けていた松浦がサム・ホーニッシュ接触し、順位をあっと言う間に落とす。
ここで、インディカーの展開と見所、観戦の仕方を書いてみます。
インディで使用される車は、F1のようなオープンホイールの車に700馬力のエンジンを積んで、オーバルコースという楕円のコースを左回りに300マイルとか500マイル走る。車の最高時速はF1が350km/hに対し、更に上を行く370km/hにもなる。これはスリップストリーム*3による加速も含まれるが、自力でも200マイル以上、320km/hをアベレージとした超ハイペースなレースである。当然、タイヤの交換や燃料補給などがあり、ピットでの作業もレースの勝敗を分ける重要なファクターとなる。
レース自体は200周をもっとも早く周回するという単純明快だが、ピット作業やコーションによるリードが極端に縮まるなどの様々なイベントにより、一瞬で勝負が決する場合もあり、非常にダイナミックなレースが展開される。*4
その後のレース展開は、松浦、高木が粘るものの結果は今一つ。細かいレース展開はindyjapan.comを見てもらうとして、今回のレースはとにかくフルコースコーションによるリードの解消が少なく、特に前半80周近くまでコーションが出なかったのが、順当なレース展開となる原因であるのは言うまでもないと思う。
レース自体はもっと激しい展開を期待していたのだが、とにかくダイナミックでありました。
トップは大手、アンドレッティ・グリーン・レーシングダン・ウェルドン。2位は同じくトニー・カナーン。3位はチーム・ペンスキートヨタのエリオ・カストロペネスという非常に堅い、順当なレースでした。とにかくダンは9割以上のラップリーダだったので、ほとんど完璧に近いポール・トゥ・ウィンとなった。

*1:普通のグリッドに停車してよーいどん、ではなく、ぐるぐる走りながらグリーンシグナルで全開にするスタート。競艇のスタートと似ている

*2:IndycarRaceLeagueの略

*3:時速300kmオーバーになると、車は空気の壁を突き抜けながら走る。前を走る車の後方に位置すると、前の車が空気の壁を押し広げてくれるので、後方の車はその分空気抵抗が少ない状態で走れる。このテクニックをスリップストリームという。インディでは複数台の車がかたまって走ることもあり、スリップストリームで乱れた空気はマシンを軽くはじき飛ばす。よって、この状態をタービュランスと呼ぶ

*4:IRLは比較的厳しいイコールコンディションを要求する。車体やエンジンは組み合わせこそあるものの、車体2種、エンジン4種、タイヤはブリジストンの米国ブランドファイアストンのみである。しかし、ここまでがちがちにすると、資金力による差が顕著になる。ドライバーを多く雇いセッティングデータの共有やエンジン、車体を多く買って、様々な調整を施したり事故に備えたりする事が出来る。目立たない部分であるが、イコールコンディションが進むIRLにとってはこの差はかなりでかい。よって、今回のように「大手が勝つ」という展開も、今後は珍しくなくなる可能性もある